姫路市立水族館 企画展 2026年
「ひめすい開館60周年!」
4.いま挑戦していること 日本産淡水魚、淡水ガメ、カエルの仲間



この企画展唯一の生体展示。
左からタガメ、クサガメの卵、ナゴヤダルマガエルです。
下に個々のアップの写真を掲載します。





タガメ





クサガメの卵
下記は解説パネルからの抄録

淡水ガメは地面に巾着型の穴を掘って産卵する(産卵巣)。卵は2〜3か月で孵化するが、
孵化した幼体が産卵巣内でどのような行動をするのか、はい出す時期もよくわかっていなかった。
そこで2019年から幼体のはい出し調査を行い、その結果、ウミガメと同様、
幼体が集団で地表近くへと掘り進み、一旦留まることが明らかになった。
また、ニホンイシガメはその年の内にはい出る一方、クサガメとアカミミガメの場合は
産卵期後期に孵化した幼体は地中で越冬することがわかった。





ナゴヤダルマガエル





コの字型の壁の内側に掲示された6枚の解説パネル。
右から順に内容を抄録します。

「日本産淡水魚」・・・1974年に天然記念物であるアユモドキの現地調査を行い、
その時点での生存数はわずか数千尾と推定された。そこで持ち帰った個体を繁殖させ、
幼魚約千尾を元の場所に放流した。その後も絶滅の恐れが高い状況は変わっておらず、
事情は他の淡水魚についても同じである。当館では1990年代からスイゲンゼニタナゴ、
ニッポンバラタナゴ、カワバタモロコ、オヤニラミなどの繁殖に取り組んでいる。

「オオシマドジョウの繁殖」・・・近年ドジョウの仲間の分類が進み、生息地が限られる種が
いることがわかってきた。そこで日本動物園水族館協会では環境省と連携しながら絶滅危惧種である
ドジョウの繁殖に取り組んでいる。オオシマドジョウはその対象種ではないが、
地域によっては絶滅が危惧されており、当館では2024年3月に本種の自然繁殖に
日本の動物園水族館で初めて成功し、「初繁殖」と認定された。

「淡水ガメ」・・・当館では1970年代から淡水ガメの野外調査を行っている。結果、
イシガメが土手下の水中の穴に潜って越冬していることが明らかになった。
1976年からはニホンイシガメ、クサガメ、ミシシッピアカミミガメの飼育下での産卵調査を開始。
1981年に淡水カメ池が完成。2016年からは個体を識別した産卵調査、2019年からは
幼体のはい出し調査を行い、淡水ガメのより詳しい生態調査に取り組んでいる。

「ニホンイシガメの長期飼育個体の産卵」・・・甲羅に「3」と大きく記されたニホンイシガメが
産卵している様子。この個体は飼育年数43年(推定年齢58歳)の長期飼育個体である。
淡水ガメの寿命はよくわかっていないが、当館には51年飼育しているアカミミガメがおり、
30年以上飼育している個体が産卵し、卵が孵化することも確認されている。

「温暖化が産卵に与える影響」・・・淡水ガメ3種の産卵期間を年代別にみると、近年は長期化する
傾向にあることがわかった。1970年代と2020年代を比較すると、ニホンイシガメとクサガメでは
約1.4倍、アカミミガメでは1.8倍。姫路の平均気温は2020年代は1970年代より約1.5℃上昇、
春の期間だけ見ると約1.9℃上昇しており、特に春期の気温上昇が産卵期間の長期化に
影響していると考えられる。

「産卵間隔」・・・淡水ガメは5〜8月に何回か産卵するが、その間隔についてはほとんど
知られていなかった。2016年から行っている個体別産卵調査の記録によると、
3種とも産卵回数が増えるほど産卵間隔が短くなる傾向が見られた。
原因はまだはっきりわからないが、アカミミガメでは1シーズンに8回も産卵する個体がいるなど、
繁殖能力が非常に高いことを示している。





2枚の解説パネルの内容を右から順に抄録します。

「カエル」・・・近年各地でカエルの仲間が減少している。当館のある手柄山(てがらやま)
平和公園周辺でも昔は普通に見られたニホンヒキガエルが、まれに見かける程度にまで
数を減らした。そこで2011年にビオトープを整備したところ、2014年以降、ほぼ毎年集まって
産卵するようになった。しかし、繁殖のために集まってくる個体は年々減少している。

「ナゴヤダルマガエルの繁殖」・・・絶滅危惧種であるナゴヤダルマガエルは本州と四国の
一部に分布しているが、兵庫県内の生息地は数か所のみである。当館では2015年から
繁殖に取り組んでいたが、2020年6月に産卵を確認し、国内の水族館で初めて繁殖に成功した。
2023年5月にはこの繁殖個体同士の累代繁殖にも成功し、2世代目の個体を得ることができた。
本種は繁殖が極めて難しいのが課題だったが、産卵時期の気象条件を調べたところ、
まとまった雨が降ることや湿度が80%以上に達することが産卵の条件のようである。


←PREV    NEXT→

企画展「ひめすい開館60周年!」トップにもどる
企画展トップにもどる
姫路市立水族館トップにもどる
トップにもどる